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実際の治療例 “みぞおちの左側が痛む(大腸がん)”

[2024.12.12]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

40代 男性 みぞおちの左側が痛む

 

【症状】

1か月ほど前からみぞおちの左側に鈍痛を感じており、自然に治るかと思い様子を見ていましたが、一向に改善がないとのことで当院を受診されました。

 

【診察・検査】

みぞおちの左側の痛みの原因として

  • 胃、十二指腸病変
  • 膵臓病変
  • 横行結腸や下降結腸の病変

などが考えられ、痛みの原因を調べるため、胃内視鏡(胃カメラ)腹部エコー血液検査などを行いました。

 

【検査】

血液検査や腹部エコーは問題なく、胃カメラでも異常は認めませんでした。

実際の胃カメラの画像です。ピロリ菌もいない正常な状態でした。

一旦は、特に病気がなくてもストレスや疲れなどによる胃酸分泌過多などで生じる機能性ディスペプシアを考え、胃薬で様子を見ることとしました。

しかしながら1週間ほど服用を続けてもらいましたが症状は持続し、頻度としては高くないものの、横行結腸や下降結腸などの大腸疾患の可能性を考え大腸カメラを行うこととしました。

 

実際の大腸カメラの所見です

 

下降結腸に腫瘍(黄色矢印)を認め、内腔をやや圧排している状態で、生検でガン細胞を認め、大腸がんと確定診断となりました。

位置的には左上腹部に一致し、腫瘍により大腸が圧排され、ガスや便の通過時に圧がかかってしまうため鈍痛が出ていたと考えられました。

 

関連ページ:

 

 

【治療】

病変は手術が必要な進行がんであり対応できる高次医療機関に紹介し、同院にて手術を行いました。

幸いにも進行度はstageⅡAで手術で根治することが出来ました。

 

左腹部の痛みの原因としては、前述のように胃や十二指腸・膵臓疾患などが多くの割合を占めますが、時に今回のような大腸由来で症状が起こることがあります。

  • 胃薬で改善しないような痛み
  • 胃カメラやエコーで異常がない
  • 下痢・便秘・血便などの便通異常を伴う

上記に当てはまるものが一つでもあれば、原因精査のため大腸カメラを受けることを強くお勧めします。

 

◆関連ページ◆

 

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

 

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