大腸内視鏡は痛い?大腸カメラの痛みの原因と無痛で受けるための当院の工夫
「大腸内視鏡は痛いですか?」
「大腸カメラが怖くて、なかなか予約できません」
このようなご相談は、当院でも非常によくいただきます。
大腸内視鏡検査で痛みを感じるかどうかは、医師の挿入技術、腸の形や癒着の有無、鎮静剤の効き方、検査中の送気量などによって大きく変わります。
つまり、大腸カメラの痛みは「検査だから仕方がないもの」ではなく、工夫によって苦痛なく受けることが出来ます。
この記事では、大腸内視鏡で痛みが出る主な原因と、当院で行っている苦痛を減らすための工夫について、内視鏡専門医の院長がわかりやすく解説します。
大腸カメラを検討中の方へ
検査の流れや費用、当院の苦痛軽減の工夫について詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
大腸内視鏡で痛みが出る主な原因
大腸内視鏡で痛みが出る原因として、主に次のようなものがあります。
- 医師のスキルが低く、検査中に腸が無理に引き伸ばされる
- 大腸の曲がりが強い、または大腸が長い
- 腹部手術や炎症による癒着がある
- 鎮静剤の効き方に個人差がある
- 検査中や検査後に空気でお腹が張る
大腸内視鏡で痛みが出やすい人の特徴
大腸内視鏡の痛みには個人差があります。特に、次のような方では、腸が曲がりやすい、癒着がある、スコープが進みにくいなどの理由で痛みが出やすくなることがあります。
- 過去に腹部手術を受けたことがある方
- 虫垂炎、憩室炎、婦人科疾患などで腹部の炎症を起こしたことがある方
- 便秘が強く、大腸が長い・たるみやすい方
- 以前の大腸カメラで強い痛みを感じた方
- 緊張や不安が強く、腸がけいれんしやすい方
このような場合でも、事前に病歴を確認し、挿入法やスコープの種類、鎮静剤の使い方を調整することで、苦痛を減らせる可能性があります。
当院で行っている痛みの少ない大腸カメラの工夫
当院では、大腸内視鏡の苦痛をできるだけ減らすために、次のような工夫を行っています。
- 内視鏡のエキスパートである専門医の院長による腸を無理に押し込まない挿入法
- 患者さんの腸の状態に合わせたスコープ選択
- お一人おひとりに合わせた鎮静剤の調整
- 検査後のお腹の張りを減らすCO2送気
- 過去の検査歴・手術歴・不安の程度を事前に確認
1. 腸を無理に引き伸ばさない挿入法
大腸内視鏡検査は、医師の挿入技術によって苦痛の出方が変わりやすい検査です。
大腸の粘膜そのものには痛みを感じる神経が少ないため、内視鏡が大腸の中に入るだけで強い痛みが出るわけではありません。
ただ、スコープを無理に押し込むと、腸が引き伸ばされ、腸を支える周囲の組織が刺激されることで痛みを感じることがあります。
腸管が引き伸ばされると痛みが出やすくなります
当院では、大腸を無理に押し込むのではなく、腸の形をできるだけ保ちながらスコープを進める「軸保持短縮法」を基本に、圧迫法や潜水法などを組み合わせたオリジナルの挿入法での検査を行っています。
2. 大腸の形や癒着に合わせてスコープを選択
大腸内視鏡の痛みには、患者さんごとの大腸の形や癒着の有無も関係します。
過去に腹部の手術歴がある方、虫垂炎や憩室炎などの炎症を起こしたことがある方、女性で婦人科疾患や手術歴がある方では、腸の癒着が起こっていることがあります。
また、便秘が強い方では、大腸が長い、たるみやすいといった特徴があり、挿入が難しくなることがあります。
大腸カメラと一口にいっても、使用するスコープにはいくつかの種類があります。柔らかく細いもの、ややコシがあるものなど、腸の状態に合わせて使い分けることが重要です。
- 手術歴や癒着が予想される方:柔らかく細いスコープを選択
- 大腸が長くたるみやすい方:適度にコシのあるスコープを選択
- 痛みが出やすい方:挿入法と鎮静剤の使い方を調整
患者さんの病歴や腸の状態に合わせて適切なスコープを選ぶことで、よりスムーズで苦痛の少ない検査につながります。
3. 鎮静剤をお一人おひとりに合わせて調整
大腸内視鏡の不安や苦痛を減らす方法の一つに、鎮静剤の使用がありますが、他院で鎮静剤を使っても検査が辛かった経験をされた方もおられます。
これに下記の様な理由があります。
- 鎮静剤の量が少ない
- 鎮静剤が体質的に効きづらい。鎮静が覚めやすい
- 普段から抗不安薬や安定剤を飲んでいる
などです。
当院ではこれらの効かない理由に対して対策を行い、苦痛のない検査を受けていただくようにただ鎮静剤を使うだけでなく、お一人お一人に合わせ工夫して鎮静剤を使用しております。
鎮静剤の量の調整
鎮静剤は、少量を調整するだけでも効き具合が変わることがあります。
当院では、患者さんの状態を確認しながら、鎮静剤の量を0.1㎎(1gの1万分の1)単位で調整しており、必要最小限の薬の量でも無痛で、かつ副作用の頻度も少なく安全に検査を行うことができます。
鎮静剤が効きにくい体質・覚めやすい体質の場合
鎮静剤は種類がいくつかあり種類によっては体質的に効きづらいことがあり、効きづらいからと言って量を増やすと副作用が出てしまうこともあります。
当院では種類の違う鎮静剤を組み合わせ、1種類では効かない方でも鎮静効果が出るような体制で検査を行っております。
また、覚めやすい体質の方は検査中に鎮静から醒めてしまうことがあります。そうした際にも途中で適量を追加投与出来るようにしております。
普段から抗不安薬や睡眠薬を使用している場合
心療内科や精神科で薬を飲んでいる方は、鎮静剤に対して耐性ができており鎮静がかなり効きづらい状態となっています。
このような場合でも上記のような量や種類の調整で対応できることがほとんどで、多くの方が苦痛なく検査を受けていただいております。
鎮静剤を使えば必ず痛くない?
鎮静剤を使用すると、検査中の不安や苦痛を軽減し、眠った状態で大腸内視鏡を受けて頂けます。ただし、腸管の癒着や炎症があると、鎮静剤を使っても必ず完全に痛みがなくなるわけではありません。
そのため、痛みの少ない大腸カメラを行うには、鎮静剤だけに頼るのではなく、挿入技術、スコープ選択、CO2送気などを組み合わせることが大切です。
4. 検査後のお腹の張りを減らす炭酸ガス(CO2)送気
大腸内視鏡では、腸のひだの裏側までしっかり観察するために、腸の中へ気体を送って広げる必要があります。通常の空気を多く入れると、検査後にお腹の張りや不快感が残ることがあります。
当院ではこのような検査中・検査後の張りによる苦痛を減らすため、必要以上の送気は行わないことはもちろん、空気の100倍吸収が早くお腹の張りが少ないと言われる炭酸ガスを用いて検査を行っております。
大腸内視鏡を受けた方がよい症状
次のような症状がある方は、痛みへの不安があっても、大腸内視鏡検査を検討することをおすすめします。
- 血便がある
- 便潜血検査で陽性を指摘された
- 便秘や下痢が続いている
- 便が細くなった
- 残便感が続く
- 腹痛やお腹の張りが続く
- 原因不明の貧血がある
- 体重減少がある
- 大腸ポリープを指摘されたことがある
- 大腸がんや大腸ポリープの家族歴がある
特に血便や便潜血陽性、便通異常が続く場合は、痔や一時的な体調不良と決めつけず、検査で原因を確認することが大切です。
院長からのコメント
大腸内視鏡は「痛い検査」というイメージを持たれやすい検査ですが、実際には、挿入法、スコープ選択、鎮静剤の調整、CO2送気などを組み合わせることで、苦痛をかなり軽減できる可能性があります。
特に、過去に大腸カメラでつらい思いをされた方は、「もう二度と受けたくない」と感じてしまうこともあると思います。しかし、痛みが出た理由を振り返り、患者さんの腸の状態や不安に合わせて検査方法を調整することで、次回は楽に受けられる場合もあります。
大腸ポリープや早期大腸がんは、自覚症状が乏しいこともあります。痛みへの不安で検査を避けてしまう前に、まずは一度ご相談ください。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
よくある質問
Q. 大腸内視鏡は本当に痛いですか?
大腸内視鏡の痛みには個人差があります。大腸の形、癒着の有無、便秘の程度、検査中の緊張、鎮静剤の効き方などによって、痛みを感じやすい方と、ほとんど痛みを感じない方がいます。痛みが出る主な原因は、スコープによって腸が無理に引き伸ばされることです。当院では、腸をできるだけ伸ばさない挿入法や、患者さんに合わせたスコープ選択、鎮静剤の調整、CO2送気などを組み合わせて、苦痛の少ない大腸内視鏡検査を目指しています。
Q. 大腸カメラで痛みが出るのはどのタイミングですか?
痛みが出やすいのは、スコープを挿入して大腸の曲がりを通過するときや、腸が引き伸ばされるときです。特に、S状結腸や横行結腸など、腸がたるみやすい部分では痛みや張りを感じることがあります。そのため、大腸内視鏡では、単にスコープを奥へ進めるのではなく、腸の形を整えながら無理なく挿入する技術が重要です。
Q. 鎮静剤を使えば眠っている間に終わりますか?
鎮静剤を使用すると、うとうとした状態で大腸内視鏡を受けられることがあります。検査中の不安や緊張が和らぎ、苦痛を感じにくくなる方も多くいらっしゃいます。ただし、鎮静剤の効き方には個人差があります。完全に眠る方もいれば、意識が少し残る方もいます。当院では、患者さんの年齢、体格、体質、服薬状況などを確認しながら、できるだけ安全に鎮静剤を使用します。
Q. 鎮静剤が効きにくい人はいますか?
はい、鎮静剤が効きにくい方もいます。普段から睡眠薬、抗不安薬、安定剤などを使用している方や、体質的に薬の効きにくい方では、鎮静剤の効果が弱く感じられることがあります。また、強い緊張や不安がある場合も、鎮静剤の効き方に影響することがあります。普段飲んでいる薬がある方や、過去に鎮静剤が効きにくかった経験がある方は、事前に医師へお伝えください。
Q. 過去に大腸カメラで痛かった人でも受けられますか?
はい、過去に大腸カメラで強い痛みを感じた方でも、検査を受けられることがあります。以前痛かった原因として、腸の形、癒着、便秘、挿入法、鎮静剤の効き方などが関係していた可能性があります。事前に「以前の大腸内視鏡で痛かった」と伝えていただくことで、スコープの種類、挿入法、鎮静剤の使用方法などを調整しやすくなります。不安が強い方ほど、検査前に相談することが大切です。
Q. 手術歴や癒着があると大腸カメラは痛くなりますか?
腹部手術のあとや、虫垂炎・憩室炎・婦人科疾患などによる炎症のあとには、腸の癒着が起こることがあります。癒着があると腸の動きが制限され、スコープが進みにくくなり、痛みが出やすくなる場合があります。ただし、癒着がある方でも、細く柔らかいスコープを選んだり、無理に押し込まない挿入法を用いたりすることで、苦痛を減らせる可能性があります。手術歴や過去の炎症歴がある方は、検査前に必ずお伝えください。
Q. 便秘が強いと大腸カメラは痛くなりますか?
便秘が強い方では、大腸が長い、たるみやすい、曲がりが強いといった特徴があることがあり、大腸内視鏡の挿入が難しくなる場合があります。その結果、痛みやお腹の張りを感じやすくなることがあります。また、便が多く残っていると観察しにくくなるため、検査前の下剤の飲み方や前処置も重要です。便秘が強い方は、事前診察で普段の便通状況を伝えていただくと、より適切な検査準備につながります。
Q. 検査後のお腹の張りはどれくらい続きますか?
大腸内視鏡では、腸の中を観察しやすくするために気体を入れて腸を広げます。そのため、検査後にお腹の張りやガスがたまったような不快感を感じることがあります。多くの場合、時間の経過とともに自然に軽くなります。当院では、検査後のお腹の張りをできるだけ減らすために、体内に吸収されやすいCO2送気を使用しています。
Q. CO2送気とは何ですか?
CO2送気とは、大腸内視鏡検査中に通常の空気ではなく、炭酸ガスを使って腸を広げる方法です。CO2は体内に吸収されやすいため、検査後のお腹の張りや不快感を軽減しやすいという特徴があります。大腸カメラでは、観察のために腸を広げる必要がありますが、空気が残ると検査後の張りにつながることがあります。CO2送気は、そのような検査後の不快感を減らすための工夫の一つです。
Q. 痛みが不安で大腸内視鏡を迷っている場合はどうすればよいですか?
痛みが不安で大腸内視鏡を迷っている方は、まず診察でご相談ください。過去に検査で痛かった経験、腹部手術歴、便秘の程度、鎮静剤への不安などを確認したうえで、できるだけ苦痛を減らす方法を検討できます。血便、便潜血陽性、便通異常、腹痛、体重減少、貧血などがある場合は、大腸ポリープや大腸がんなどの病気が隠れていることもあります。痛みへの不安だけで検査を先延ばしにせず、まずは一度ご相談ください。
まとめ
大腸内視鏡は「痛い検査」というイメージがありますが、痛みの原因を理解し、適切な工夫を行うことで、苦痛を軽減できる可能性があります。
✔ 痛みの原因には、腸の引き伸ばし、癒着、腸の形、鎮静剤の効き方などがあります。
✔ 軸保持短縮法などの挿入技術により、腸を無理に伸ばさず検査することが大切です。
✔ 患者さんの腸の状態に合わせてスコープを選択することで、苦痛を減らせる場合があります。
✔ 鎮静剤は体質や服薬状況に合わせて調整が必要です。
✔ CO2送気により、検査後のお腹の張りを軽減しやすくなります。
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医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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参考文献
- 日本消化器内視鏡学会. 大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン. 2020.
- 日本消化器内視鏡学会. 内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン 第2版. 2020.
- Guacho JAL, et al. Insufflation of Carbon Dioxide versus Air During Colonoscopy: Systematic Review and Meta-analysis. 2021.
- 日本消化器内視鏡学会. 消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン.
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)


