メニュー

実際の治療例 “血便が続く(潰瘍性大腸炎)”

[2023.10.12]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

20代女性 血便が続く

 

【症状】

8か月ほど前から時々便に赤い血が混じるような状態の血便があり、近くの肛門科を受診し、「痔」と診断され薬を出されて様子をみていましたが、改善なく度々血便を繰り返す状況が続いていました。ここ最近、血便の頻度が増え、粘液も交じってきたため不安になり当院を受診されました。

 

【診察】

ここ1-2か月ほどは便に血が混じる状態に加え、便自体も形が崩れていたり粘液のような便だったりと、いわゆる便通異常を伴っている状態でした。

症状からは「痔」というよりも、腸の粘膜に炎症を起こす「何らかの腸炎」による出血・便通異常を考えました。

(単なる「痔」の場合は便通異常は伴わないことが多いです。)

関連ページ;内痔核

 

【検査】

食事を摂らずに来院されたので、当日すぐに腹部エコーを行い状態を確認しました。

S状結腸に腸管の炎症像を認め経過と合わせて「潰瘍性大腸炎」という病気を疑いました。

状態を説明し、後日大腸内視鏡(大腸カメラ)を行いました。

UC②

内視鏡の所見と病理検査結果から「潰瘍性大腸炎」の確定診断となりました。

関連ページ;大腸内視鏡

 

【治療】

潰瘍性大腸炎は約80%の患者さんが、5-ASA製剤という内服薬で症状が落ち着くため、まず同薬の治療を開始しました。

 

【経過】

内服開始1週間ほどで血便はなくなり、粘液のような便も2週間ほどで消失しました。ただ、便の形は軟便傾向がつづいている状態だったため、腹部エコーで状態を評価したところ、炎症像は軽減していたものの残存しており、検便でも炎症の数値が軽度の上昇を認めました。

炎症の範囲が肛門から近いS状結腸までであり、内服薬に加えスプレー式の注腸整剤を併用したところ、2週間ほどで便の普通便にもどりました。

その後注腸製剤は中止し、内服のみで緩解維持療法を続けています。

 

潰瘍性大腸炎は緩解状態(症状が消失した状態)になった後も、再燃を起こしやすい病気のため基本的には内服製剤などを続け緩解状態を維持していくことが大切になります。

関連ページ;潰瘍性大腸炎について

 

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

■関連ページ■

潰瘍性大腸炎

内痔核

大腸内視鏡

なぜ大腸内視鏡は痛くて苦しいの?

大腸内視鏡のQ&A

腹部エコー

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME