実際の治療例 “お尻から血が出る(直腸ポリープ)”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
30代 男性 お尻から血が出る
【症状】
1か月ほど前から排便に伴い赤い血が出るとのことが度々起こり、近所の肛門科を受診したところ、「痔」と診断され座薬をもらいましたが、その後も出血が続くとのことで当院を受診されました。
【診察】
お尻からの出血の要因としてもちろん痔疾患もありますが、治療して改善がない場合は他の疾患(大腸ガンやポリープ・大腸炎)の可能性もあるため大腸内視鏡を行い状態を確認することにしました。
【大腸内視鏡検査】
内視鏡を行うと、軽度の内痔核(肛門の内側の痔疾患)を認めましたが、程度は軽く出血は認めませんでした。
少しスコープを進めると、直腸に20㎜大のポリープを認めました。
うっすらと出血しており、今回の出血の要因と考えられました。
【治療・経過】
サイズの大きなポリープでしたが、内視鏡診断ではガン化してない良性ポリープと考えられ、内視鏡的に切除しました。
病変の切除後は血便も消失し、病理検査結果も良性ポリープであり、治療完了となりました。
排便時の出血の原因として最も多いのは痔疾患ですが、大腸ポリープや大腸ガンやなどでも同じような出血を起こします。
特に大腸ガンは早期の状態であれば内視鏡で治療が可能ですが、進行がんの状態になると手術や抗がん剤治療が必要となり、さらに進行すると全身に広がり命取りとなることもあるため、早期発見が鍵となります。
今回のように排便時の血便がきっかけとなり病気の早期発見・早期治療につながることも少なからずあるため、痔と診断されても改善がない場合は大腸内視鏡検査を受けることが重要です。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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