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実際の治療例 “非常にわかりにくい大腸ポリープ”

[2025.02.10]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

30代 男性 大腸がん家系で心配

 

【症状】

特に自覚症状はありませんでしたが、もともと親族に大腸がん罹患者が多く、今回祖父が大腸がんになって手術を受け、自分も心配になったとのことで来院されました。

 

【検査】

大腸がんのリスクの一つに家族歴があり、ご本人も大腸カメラ検査を強く希望され検査を行うことにしました。

実際に大腸カメラを行うと上行結腸に扁平な大腸ポリープを認めました。

大腸の一番奥に扁平なポリープ(黄色矢印部分)を認めました。周囲と同色調で丈が低く、非常にわかりづらいタイプのポリープです。

 

NBIというモードに変更し拡大観察の上、内視鏡的に切除可能であることを確認して、そのまま内視鏡切除をしました。

NBIモードではガン化を示唆する所見はなく、良性と判断しその場で内視鏡切除を行いました。

 

その後も出血などの合併症なく、切除後の病理検査結果では細胞の異型を伴っていたもののガン化はしておらず、治療は終了となりました。

 

【今回のポリープについて】

大腸ポリープの中での今回のように扁平なタイプを鋸歯状病変と呼びます。

このタイプのポリープは多発しやすくかつ扁平なため見つけづらいという嫌な特徴があり、内視鏡専門施設でないと気づかれずにスルーされてしまうこともあります。

鋸歯状病変の中でも細胞の異型を伴う鋸歯状腺腫は発がん性をもち、横に広がりやすく内視鏡で切除した際の傷口が大きくなるため入院を要することも少なくなく、なるべく早期に見つけ切除することが重要です。

 

また大腸がんは家族歴が発生のリスク因子と言われ、直系親族に既往がある場合には要注意です。

大腸がんはまずポリープが出来て成長してガン化するというパターンがほとんどのため、ポリープを見つけて切除することが予防にとっては大切です。

今回は家族歴があり、かつ鋸歯状病変という状況でしたので、今後も定期的に大腸カメラを行い状態をチェックしていくこととしています。

 

大腸がんやポリープについて気になる方・ご不安な方はお力になれますのでご相談ください!

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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