実際の治療例【「胃薬でも治らない…」みぞおちの左側の痛みから発見された大腸がん】
「みぞおちの痛み=胃の病気」と思い込んでいませんか?
実は、胃や膵臓に異常がなくても“大腸”が原因となって症状が出ることがあります。
今回は、1か月以上続くみぞおち左側の痛みから検査を進めた結果、大腸がんが見つかった40代男性の治療例を専門医の院長が分かりやすく解説します。。
「胃薬を飲んでも治らない」「検査で異常なしと言われたけど症状が続く」──そんな症状でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、胃痛・腹痛・みぞおちの痛み・便通異常・血便などのご相談を受け付けています。
痛みが続く場合や、胃薬で改善しない場合は、胃だけでなく大腸・膵臓・胆のうなども含めて原因を確認することが大切です。
WEB予約はこちら 03-5940-3833
みぞおちや腹部の痛み全般については、以下のページでも詳しく解説しています。
みぞおち左側の痛みを起こす主な原因
みぞおち左側の痛みは、痛みの場所だけで原因を一つに決めることはできません。 胃・十二指腸・膵臓・大腸・筋肉・神経など、複数の原因を考えながら診察を進める必要があります。
胃・十二指腸の病気
みぞおち周辺の痛みでまず考えるのは、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・機能性ディスペプシアなどです。 胃酸の刺激、胃の動きの低下、粘膜の炎症、ストレスなどが関係して痛みが出ることがあります。
膵臓の病気
膵炎や膵臓の病気では、みぞおちから左上腹部、背中にかけて痛みが出ることがあります。 強い痛み、吐き気、発熱、背部痛などを伴う場合は注意が必要です。
大腸の病気
横行結腸や下降結腸など、左上腹部に近い位置にある大腸に炎症・腫瘍・狭窄・便やガスの停滞があると、みぞおちの左側や左上腹部に鈍い痛みとして感じることがあります。 今回の症例でも、下降結腸の腫瘍によって腸管内腔がやや狭くなり、便やガスの通過時に圧がかかることで痛みが出ていたと考えられました。
便秘・ガスの停滞
便秘やガスの貯留でも、左上腹部やみぞおち左側に張り・鈍痛・圧迫感が出ることがあります。 ただし、便秘と思っていても大腸がんや大腸狭窄が隠れていることもあるため、症状が続く場合は注意が必要です。
筋肉・神経・肋骨まわりの痛み
内臓の病気ではなく、肋間神経痛、筋肉痛、姿勢による痛みなどでみぞおち左側に痛みを感じることもあります。 ただし、自己判断で「筋肉痛だろう」と決めつけず、長引く場合は一度確認しておくことが大切です。
大腸がんとは?みぞおち左側の痛みと関係することはある?
大腸がんは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。 国立がん研究センターの情報では、大腸がんは早期には自覚症状がないこともありますが、進行すると血便、下血、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、腹痛、腹部膨満感、貧血、体重減少などがみられることがあります【1】。
大腸はお腹の中を大きく回るように走っているため、病変の位置によって症状の出方が異なります。 今回のように、下降結腸付近の病変では左上腹部から左側腹部の違和感や痛みとして感じることがあります。
また、大腸がん検診では便潜血検査が推奨されていますが【2】、便潜血が陰性でも症状が続く場合や、腹痛・便通異常・血便などがある場合は、検診ではなく症状に対する診断目的の検査として大腸カメラを検討することがあります。
▶ 大腸がんで起こる症状については、貧血・体重減少・腹痛で見つかる大腸がんも参考にしてください。
実際の治療例|40代男性「みぞおちの左側が痛む」
【症状】
1か月ほど前からみぞおちの左側に鈍痛を感じており、自然に治るかと思い様子を見ていましたが、一向に改善がないとのことで当院を受診されました。
【診察・検査】
みぞおちの左側の痛みの原因として
- 胃、十二指腸病変
- 膵臓病変
- 横行結腸や下降結腸の病変
などが考えられ、痛みの原因を調べるため、胃内視鏡(胃カメラ)・腹部エコー・血液検査を行いました。
【検査】
まず、血液検査・腹部エコー・胃内視鏡検査(胃カメラ)を行いました。
- 血液検査:明らかな炎症反応や大きな異常なし
- 腹部エコー:膵臓・胆のう・肝臓などに明らかな異常なし
- 胃カメラ:胃や十二指腸に痛みの原因となる異常なし
実際の胃カメラの画像|ピロリ菌もいない正常な状態でした。
一旦は、特に病気がなくてもストレスや疲れなどによる胃酸分泌過多などで生じる機能性ディスペプシアを考え、胃薬で様子を見ることとしました。
しかしながら1週間ほど服用を続けてもらいましたが改善なく、横行結腸や下降結腸などの大腸疾患の可能性も視野に大腸カメラを行うこととしました。
下降結腸に腫瘍(黄色矢印)を認め内腔をやや圧排している状態で、生検で大腸がんと確定診断となりました。
位置的には左上腹部に一致し、腫瘍により大腸が圧排され、ガスや便の通過時に圧がかかってしまうため鈍痛が出ていたと考えられました。
【治療】
病変は手術が必要な進行がんであり対応できる高次医療機関に紹介し、同院にて手術を行いました。
幸いにも進行度はstageⅡAで手術で根治することが出来ました。
受診の目安|胃薬で治らない痛みは放置しないでください
みぞおち左側の痛みが一時的なもので、すぐに改善する場合は大きな問題がないこともあります。しかし、今回のように、胃薬で改善しない痛みの背景に大腸がんが隠れていることがあります。
特に、以下に該当する場合は、大腸カメラを含めた精査が大切です。
- 胃薬を飲んでも痛みが改善しない
- 痛みが1〜2週間以上続いている
- 胃カメラや腹部エコーで異常なしと言われたが、症状が続いている
- 便秘・下痢・便が細いなど、便通の変化がある
- 血便・便潜血陽性を指摘された
- 貧血を指摘された
- 体重が減っている
- 家族に大腸がんや大腸ポリープの方がいる
- 40歳以上で大腸カメラを受けたことがない
院長コメント
みぞおち左側の痛みというと、胃や十二指腸、膵臓の病気をまず考えることが多いです。 しかし、今回のように、胃カメラや腹部エコーで異常がなく、胃薬でも改善しない場合には、大腸の病気が隠れていることがあります。
特に大腸がんは、早い段階では症状がはっきりしないこともあります。 「血便がないから大丈夫」「便潜血が陰性だから大丈夫」と自己判断せず、症状が続く場合には、診察で必要な検査を相談することが大切です。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコー・血液検査などを組み合わせながら、胃腸症状の原因を丁寧に確認しています。
胃薬で改善しない痛みや、検査で異常なしと言われたものの症状が続いている方は、お気軽にご相談ください。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
よくある質問
Q. みぞおち左側の痛みで大腸がんのことはありますか?
あります。頻度としては胃や十二指腸、膵臓、便秘やガスなどが原因となることも多いですが、横行結腸や下降結腸などの大腸病変が左上腹部やみぞおち左側の痛みとして出ることがあります。痛みが続く場合や胃薬で改善しない場合は、大腸カメラを含めた精査を検討します。
Q. 胃カメラで異常なしでも大腸カメラは必要ですか?
症状によっては必要です。胃カメラで胃や十二指腸に異常がなくても、痛みが続く場合や便通異常、血便、便潜血陽性、貧血、体重減少などがある場合は、大腸の病気を確認するために大腸カメラを検討します。
Q. 胃薬で治らない腹痛は何科を受診すべきですか?
消化器内科の受診をおすすめします。胃薬で改善しない腹痛では、胃だけでなく、大腸、膵臓、胆のう、肝臓、腎臓などの病気も考える必要があります。消化器内科では、症状に応じて胃カメラ、大腸カメラ、腹部エコー、血液検査などを組み合わせて原因を調べます。
Q. 大腸がんの腹痛はどのあたりに出ますか?
病変の位置によって異なります。右側の大腸では右腹部、横行結腸では上腹部、下降結腸やS状結腸では左腹部や下腹部に痛みが出ることがあります。ただし、痛みの場所だけで大腸がんかどうかを判断することはできません。
Q. 血便がなくても大腸がんのことはありますか?
あります。大腸がんでは血便や便潜血陽性で見つかることがありますが、必ず血便が出るわけではありません。腹痛、便通異常、貧血、体重減少、便が細いなどの症状から見つかることもあります【1】。
Q. 40代でも大腸がんになりますか?
40代でも大腸がんが見つかることがあります。年齢とともにリスクは上がりますが、若い世代でも発症することがあるため、症状が続く場合や家族歴がある場合、便潜血陽性を指摘された場合は早めの相談が大切です。
Q. 大腸がんは腹部エコーで分かりますか?
腹部エコーで大きな腫瘍や腸管の異常が疑われることはありますが、大腸の内側を詳しく確認する検査ではありません。大腸がんや大腸ポリープを直接確認するには、大腸カメラが重要です。
Q. 大腸カメラは痛いですか?
大腸カメラは不安を感じる方が多い検査ですが、当院では鎮静剤の使用や挿入方法の工夫により、苦痛をできるだけ少なく受けていただけるよう配慮しています。検査に不安がある方は事前にご相談ください。
Q. 便秘やガスでみぞおち左側が痛くなることはありますか?
あります。大腸に便やガスがたまると、左上腹部やみぞおち左側に張りや鈍痛を感じることがあります。ただし、便秘と思っていても大腸がんや大腸狭窄が隠れていることがあるため、症状が続く場合は検査を検討します。
Q. どのくらい痛みが続いたら受診した方がいいですか?
数日で自然に改善する軽い痛みであれば様子を見ることもありますが、1〜2週間以上続く痛み、繰り返す痛み、胃薬で改善しない痛み、便通異常・血便・体重減少・貧血を伴う痛みは早めに消化器内科へご相談ください。
まとめ
みぞおち左側の痛みは、胃の病気だけでなく、膵臓や大腸の病気でも起こることがあります。 今回の症例では、胃カメラや腹部エコーで異常がなく、胃薬でも改善しなかったため大腸カメラを行ったところ、下降結腸がんが見つかりました。
- みぞおち左側の痛みは、胃・膵臓・大腸など複数の原因を考える必要があります。
- 胃薬で治らない痛みでは、大腸疾患が隠れていることがあります。
- 大腸がんは血便だけでなく、腹痛・便通異常・貧血・体重減少で見つかることがあります。
- 胃カメラや腹部エコーで異常がなくても、症状が続く場合は大腸カメラを検討することがあります。
- 長引く痛みを自己判断で放置せず、消化器内科で相談することが大切です。
関連ページ
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医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階巣鴨駅前胃腸内科クリニック
お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介 (消化器学会・内視鏡学会専門医)
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html - 国立がん研究センター がん対策研究所「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン 2024年度版」
https://canscreen.ncc.go.jp/guideline/daicyougan.html - U.S. Preventive Services Task Force. Colorectal Cancer: Screening. Final Recommendation Statement, 2021.
https://www.uspreventiveservicestaskforce.org/uspstf/recommendation/colorectal-cancer-screening - 大腸癌研究会 編「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版」金原出版
https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307204828
