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実際の治療例 “慢性的に左下腹部に違和感や鈍痛がある”

[2025.01.15]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

40代 女性 慢性的に左下腹部に違和感や鈍痛がある

【症状】

2年ほど前から度々左下腹部に違和感や耐えられない程ではない軽い鈍痛を感じており、婦人科を受診し内診やエコー検査・MRIを受けるも異常は指摘されず、消化器内科を勧められ同院で大腸カメラを受けましたが異常なく、一旦は様子見となっていました。

ただその後も症状が一向に消えず、何か病気の見落としがあるのではないか、治療法がないかと当院を受診されました。

 

【診察・検査】

女性の左下腹部の原因として

  • 下降結腸やS状結腸などの大腸疾患
  • 腹腔内の疾患
  • 婦人科系の疾患

などが考えられます。

婦人系疾患については異常なしであったとのことと、ご本人より消化器系疾患について見落としががないかを再度調べたいとの希望があり、

当院では大腸カメラ腹部エコーを行いました。

 

【検査】

腹部エコーでは左下腹部・腹腔内に症状の原因となる異常はありませんでした。

大腸カメラでも観察する限りは炎症やガンなどはありませんでしたが、S状結腸でのスコープ操作時に硬化を認め癒着の可能性が考えられました。

実際の大腸カメラの画像です。硬化のある部分でスコープ操作が制限され癒着を考えますが、大腸の中を観察する限りは炎症やガンなどの異常所見は認めておりません。

この部分に癒着があるせいで、便の通過時の刺激性の疼痛・ガスのたまりによる圧迫性の違和感・蠕動痛などが出やすい状態と考えられました。

【治療】

癒着性の痛みや違和感は大腸カメラで観察する限りは異常所見がないため、“異常なし”と判定されてしまうことが少なくありませんが、

スコープ操作に熟練した医師が検査を行うことで、大腸の硬さやカーブの状態・癒着があるかどうかなど画像には映らない大腸の状態を正しくを把握することが出来ます。

 

大腸の癒着は、

  • 腹部手術
  • 大腸の炎症
  • 周りの小腸や婦人科系の臓器の炎症

などが原因で生じてきます。

過去に細菌性の激しい感染性大腸炎の既往があり、その改善過程で癒着が生じたと考えられました。

 

癒着による症状は数年以上経ってから起こることも多く、治療としては手術による癒着剥離症状に対しての対症療法がありますが、

今回はまず薬による対症療法を希望されました。

<治療内容>

  1. 癒着部に圧がかかりにくくするため、大腸の動きを整える運動調整剤
  2. 大腸の過剰な蠕動やそれに伴う蠕動痛を抑える漢方

を用いて治療を開始しました。

 

治療効果は1週間ほどで現れ、今まで感じていた違和感がかなり減ったとのことでした。

そのまま1か月ほど続けてみたところ、違和感・鈍痛ともほぼ消失し非常に喜んでおられました。

ご本人的には処方した漢方がすごく合っているとのことで、現在も漢方を継続し安定した状態を維持しています。

 

着による痛みや違和感は検査しても異常所見としてとらえることが出来ないことも多く、「ストレス性」や「原因不明」といった診断になり、治療がうまくいかなかったり、治療しないまま様子見で終わりになってしまうこともあります。

そのような場合でも熟練した医師が検査を再検することで正しく腸の状態が把握でき、適切な治療が行える場合もあります。

症状にお悩みの方はお力になれることもありますので、一度ご相談ください!

 

◆関連ページ◆

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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