実際の治療例 “検診の貧血を契機に発見された大腸ガン”
当院の患者さんの実際の治療経過です。
50代 男性 健康診断で貧血を指摘
【症状】
特に自覚症状はありませんでしたが、健康診断で軽度の貧血を指摘され来院されました。
【検査】
貧血は出血や造血異常・腎機能異常などの様々な原因で起こりますが、割合としては出血によるものが多く、その中でも消化管出血(胃や大腸からの出血)の頻度が高いため、上下部内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を行い状態を確認してみることとしました。
上部内視鏡検査では、食道・胃・十二指腸に出血を来す異常はありませんでした。
大腸内視鏡を行うと、上行結腸に35㎜大の出血を伴う腫瘍を認め(青矢印部分)、貧血の原因と考えました。
【経過】
進行大腸がんのため内視鏡治療の適応はなく手術による治療となりましたが、幸いにも転移はなく根治することができました。
関連ページ:大腸がん
貧血は
- 小球性貧血
- 正球性貧血
- 大球性貧血
とタイプがあり、それぞれ原因が異なります。
今回は小球性貧血の状態で、原因は出血によるもが最多です。
食道や胃・十二指腸などからの出血の場合は吐血や黒色便が出たり、大腸からの出血の場合は血便がでたりと症状がでる場合もありますが、少量の出血の場合は自覚症状が全くない場合もあります。
少量の出血でも慢性的に続くことでジワジワと貧血が進行し、それが今回のように病気を見つけるサインになることもあります。
放置するとガン自体が進行し治すのが困難になったり、貧血の進行により心臓に負担がかっかたりと命に関わることになるため、きちんと検査を受けて原因を確認することが重要です
関連ページ:血便外来
貧血以外にも様々なきっかけで大腸ガンがみつかることがあります。
他の記事にも症例を挙げていますのでご参考にされてみてください。「当院で見つかった大腸がんの治療例」
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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