実際の治療例 【1日5回以上の下痢が続く30代男性|大腸カメラで異常なし、その正体は?】
「毎日下痢が続いて仕事にも支障が出る」「検査しても原因がわからない」
そんなお悩みを抱えていませんか?
過敏性腸症候群(IBS)は、命に関わる病気ではありませんが、生活の質を大きく下げてしまう疾患です【1】。
今回は、当院を受診された30代男性の治療経過をご紹介します。
▶当院ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
症例|30代男性「慢性的に下痢が続く」
【症状】
大学卒業後、社会人になってから下痢がちになり、数年前から悪化。
1日5〜6回の下痢で仕事中も度々トイレに行かざるを得ず、最近は下腹部痛も出現。大腸がんなどの病気ではないかとの不安から当院を受診。
【検査】
・血液検査
・腹部エコー
・大腸内視鏡(大腸カメラ)で病気が潜んでいないかを確認しました。
結果はいずれも問題なく、下痢型の過敏性腸症候群と診断しました。
【過敏性腸症候群とは?】
腸に炎症や潰瘍などの器質的異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常(下痢・便秘・交代型)を繰り返す病気です。
ストレスや自律神経の乱れ、腸内細菌のバランスの崩れなどが関与していると考えられています【2】【3】。
【治療】
仕事によるストレスはあるものの、なかなか環境を変えることは難しいので、過敏性腸症候群の症状をコントロールし上手く付き合っていくため以下の治療を行いました。
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生活習慣の改善
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毎日飲んでいたアルコールを制限し、休肝日を設定。
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薬物療法
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セロトニン3受容体拮抗薬(イリボー):下痢の頻度を軽減。
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整腸剤:腸内環境の改善。
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漢方薬:腹痛・腸の過蠕動を抑制。
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抗不安薬:会議や外出前などプレッシャーやストレス時に眠気の来ないような軽い抗不安薬を頓用。
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【経過】
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内服開始2〜3日で下痢が減少。
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2週間で「ほぼ下痢は落ち着き、腹痛が時々出る程度」に改善。
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1か月で症状はほぼ消失。
その後は漢方をベースに、調子が悪くなったらセロトニン3受容体拮抗薬を数日飲んで落ち着ける、プレッシャー時に抗不安薬を頓服、という形で症状とうまく付き合って頂いています。
院長からのコメント
過敏性腸症候群は「検査で異常がないのに症状が続く」ことから、不安やストレスが悪循環を招きやすい病気です。
今回の患者さんも、「下痢や腹痛になったらどうしよう」という不安がストレスとなり、それがまた腸に影響するという悪循環に陥っていましたが、
下痢・腹痛が落ち着いたことで不安要素が改善され、結果減薬していくことにつながったと考えられます。
▶過敏性腸症候群の関連ページ
- 過敏性腸症候群|原因・検査・治療についてのより詳細な内容がご確認いただけます。
- 過敏性腸症候群の食事療法|注目されている低フォドマップ食を中心に食事療法について、実例を含めて解説。
- なぜ過敏性腸症候群は治らないのか?|過敏性腸症候群が治りにくい・再発しやすい理由と対応について
まとめ
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慢性的な下痢が続く場合、まずは大腸がん・炎症性腸疾患などの除外が必須。
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異常がなければ、過敏性腸症候群(IBS)が考えらます。
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治療は生活習慣改善・薬物療法・不安コントロールの組み合わせが有効です。
同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
よくある質問FAQ
Q1:過敏性腸症候群は大腸がんになりますか?
A1:IBSは大腸がんの原因にはなりません。ただし症状が似ているため、まずは大腸内視鏡で除外診断をすることが重要です【2】。
Q2:薬を一生飲み続ける必要がありますか?
A2:体質改善やストレスコントロールにより、薬を減量できる場合があります。本症例でも漢方と整腸剤を続けることで減薬が可能になりました。
Q3:市販薬で治せますか?
A3:整腸剤などで一時的に改善することはありますが、自己判断は危険です。まずは専門医に相談してください【3】。
Q4:過敏性腸症候群は完治しますか?
A4:完全に「治る」というよりは、症状をコントロールしながら再発を防ぐ「寛解」を目指す病気です。生活習慣改善やストレス対処が大切です。
Q5:下痢型のIBSと感染性腸炎の違いは何ですか?
A5:感染性腸炎は急性で発症し、発熱や血便を伴うことが多いのに対し、IBSは慢性的に下痢や腹痛が続き、検査で炎症や潰瘍が見つからないことが特徴です。
Q6:IBSはストレスだけが原因ですか?
A6:ストレスは大きな要因ですが、腸内細菌バランス、自律神経の乱れ、食生活など複数の因子が関与します【1】。
Q7:どんな食べ物で悪化しますか?
A7:アルコール、カフェイン、脂っこい食事、香辛料、人工甘味料(ソルビトールなど)は下痢を悪化させることがあります。個人差があるため、食事日記で確認するとよいでしょう。
Q8:IBSの人はヨーグルトを食べた方が良いですか?
A8:乳酸菌が腸内環境を整える効果が期待されます。ただし乳糖不耐症の方は逆に下痢を悪化させることがあるため注意が必要です。
Q9:IBSと潰瘍性大腸炎やクローン病はどう違いますか?
A9:潰瘍性大腸炎やクローン病は炎症性腸疾患(IBD)であり、内視鏡で炎症や潰瘍が確認されます。IBSは炎症がなく、機能的な障害によって症状が出ます。
Q10:IBSの診断はどのようにされますか?
A10:血液検査や大腸内視鏡で炎症や腫瘍を否定した上で、診断基準を満たす場合に診断されます【2】。
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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関連ページ
参考文献
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Longstreth GF, et al. Functional Bowel Disorders. Gastroenterology. 2006.
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日本消化器病学会. 過敏性腸症候群診療ガイドライン 2020.
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Ford AC, et al. Efficacy of pharmacological therapies for IBS: systematic review. BMJ. 2014.
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
