実際の治療例 “食後しばらくしてからのみぞおちの痛み(胆石胆のう炎)”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
40代男性 食後しばらくしてからのみぞおちの痛み
【症状】
以前から度々食後しばらくしてとみぞおちの痛みを感じており、たまに激しい痛みとなることもありました。
かかりつけ医で胃カメラを受けて異常がなく、機能性ディスペプシア(胃酸の分泌過多や粘膜の知覚過敏で痛みを感じる状態)と診断され薬で様子見となりましたが、薬が効かず度々痛みを繰り返し、昨日に激痛が起こったとのことで当院を受診されました。
関連ページ:機能性ディスペプシア
【診察】
ご本人に詳しく話を聞くと、食後1-2時間してから痛むことが多く特に油物を食べた時は高頻度で起こり、昨日も天ぷらを食べてしばらくしてから激痛が起こったとのことで、胃というよりも胆石発作や胆嚢炎の可能性が高いと考え腹部エコーを行いました。
【検査】
エコー検査では胆のうの壁が腫れて厚くなっている状態で胆嚢炎を起こしている状態でした。
胆のう頚部(胆のうの出口付近)には巨大な胆石を認め、胆石がはまり込んだことによって起こる胆石胆嚢炎と診断しました。
関連ページ:腹部エコー
【治療】
胆石胆のう炎は胆のう内に出来た胆石が大きくなり、詰まってしまうことで発症する炎症で、食後2-3時間してからみぞおち~右上腹部の激痛で発症します。。
一過性の発作の場合もありますが、繰り返す場合や痛みが取れない場合は胆のうを摘出する手術を選択することが多く、今回も患者さんと相談し手術する方針としました。
<治療内容>
胆石治療のため手術;入院しての治療となるため対応できる高次医療機関に紹介となりました。
【経過】
手術は無事に終了し、その後は食後の痛みは出ることはなくなり、診察終了となりました。
今回のように胆石や胆嚢炎はみぞおちの痛みとして感じることもあり、「胃の痛み」と考えられ、胃内視鏡(胃カメラ)を受け異常なしと診断されてしまい、「機能性ディスペプシア」や「心因性」といった誤った診断を受けてしまうことも少なくありません。
「胃の痛み」があった場合には、胃内視鏡だけでなく腹部エコーも行い胆のうなどの上腹部の臓器も併せてしっかりと確認することが重要です。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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